ブラジルコーヒー愛好家のための究極ガイド!豆選びから淹れ方まで
- 毎朝のコーヒータイムは至福の時間
- おいしいコーヒーの選び方や淹れ方は、どうすればいいの?
- もっとコーヒーの世界を楽しみたい!
コーヒーは、世界中で愛されている飲み物の一つです。コーヒーの人気はますます高まり、中でもブラジルコーヒーは酸味とコク、苦味のバランスがよく注目を集めています。
当記事では、ブラジルコーヒーの基礎知識や特徴をわかりやすく解説しています。おいしいブラジルコーヒーを楽しむためには、淹れ方や道具の使い方が重要です。豆や道具の特徴を知り、ブラジルコーヒーの世界を楽しみましょう。
ブラジルコーヒーの基礎知識
ブラジルはコーヒー豆の生産において世界一の生産量を誇り、約30%のシェアを誇ります。
150年にわたって世界一の生産国であるブラジルコーヒーの基礎知識として以下を解説します。
- ブラジルコーヒーの歴史
- ブラジルコーヒーの産地と特色
- ブラジルコーヒーが世界で愛される理由
ブラジルコーヒーの歴史
ブラジルコーヒーの歴史は18世紀初頭、フランス領ギアナから持ち込まれたのが始まりです。ブラジル北部から東南部地域にもコーヒー栽培が広がり、1850年には世界最大のコーヒー生産国になりました。
世界の30%を占めるほどにまで成長したブラジルのコーヒー産業は、国際相場に大きな影響を与えています。
第一次世界大戦中のコーヒー需要の低下や、世界恐慌による価格の下により、ブラジルのコーヒー産業が危機にさらされたことがありました。のちに経済的、政治的、社会的にも深刻な問題に発展したものの、ブラジルはコーヒー生産世界一であり続けています。
ブラジルコーヒーの産地と特色
ブラジルでは広大な国土に大小各種のコーヒー産地が点在しています。
産地による特徴は、以下のとおりです。
- ミナスジェライス州:ブラジル最大のコーヒー生産地域で高品質のアラビカ種が栽培。
- サンパウロ州:丘陵地帯に位置し、バランスの取れたコーヒー豆が特徴。
- エスピリトサント州:コニロン(ロブスタ種)が多く栽培され、独特の酸味とフルーティーな風味。
- バイーア州:生産者が品質にこだわっており、トロピカルフルーツを感じさせる風味。世界でも注目されている。
- パラナ州:主要生産地だったが、霜の被害により以前のような生産量はない。日本への輸入も困難な状況。
- リオデジャネイロ州:機械化が進まず大量生産が行えないため知名度は低い。
産地の特性を知ると、ブラジルコーヒーを楽しめます。
ブラジルコーヒーが世界で愛される理由
ブラジルコーヒーが世界で愛される理由は、品質と価格のバランスの良さです。ブラジルでは特色ある気候と地形により、豊かな風味のコーヒー豆が生み出されます。栽培される豆の多くはアラビカ種で、苦味とコクのバランスがよく、なめらかな口当たりが特徴です。
ブラジルでは収穫したコーヒー豆を天日干しして精製するため、果実味あふれた香り豊かな生豆になります。ほど良いコクと飲みやすさを兼ね備えたブラジルコーヒーは、ブレンドコーヒーの基盤となることも多いです。マイルドな味わいは多くの人に受け入れられ、カフェや家庭で日常的に飲まれています。
豊富な生産量によるコストパフォーマンスの良さも、世界各地でブラジルコーヒーが選ばれる大きな理由の一つです。
ブラジルコーヒーの特徴
以前のブラジルでは効率を重視した大規模農場が主体となっていましたが、近年は品質重視の農場も増えました。ブラジルコーヒーの特徴は以下のとおりです。
アラビカ種とロブスタ種の特徴
コーヒー豆の種類にはアラビカ種とロブスタ種があり、ブラジルではどちらも栽培されています。アラビカ種とロブスタ種の特徴は以下のとおりです。
項目 | アラビカ種 | ロブスタ種 |
---|---|---|
原産地 | エチオピア | コンゴ |
生産量 | 60% | 40% |
特徴 | 病気に弱く、収穫量が少ない | 病気に強く、1本の木からの収穫が多い |
栽培地 | 900m以上の高地 | 300m~900mの低地でも可能 |
味わい | 豊かな風味、鮮やかな酸味 | 酸味が少ない、力強く苦味や渋みが強い |
豆の含油率 | 15〜17% 香りと口当たりが良い | 10〜12% エスプレッソではしっかりとしたクレマができる |
豆の糖度 | 6〜9% 糖は焙煎によって変化し、味わいが増す | 3〜7% 強い独特の苦味を生み出す |
カフェイン含有率 | 0.8〜1.4% カフェインが少ないので病害虫に弱い | 1.7〜4% カフェインが多く病害虫に強い |
木の品種や栽培方法によって、個性的な味わいを楽しめるのもブラジルコーヒーの魅力です。
» コーヒー豆の種類を解説
ブラジルコーヒーの味わいの特徴
ブラジルコーヒーは、ほど良い苦味と甘さで、酸味が少ないのが特徴です。豊かなボディ感と、ナッツやチョコレートを思わせる風味は幅広い層に愛されています。ブラジルで多く見られるナチュラルプロセスによるコーヒーは、自然の影響が直接反映されます。味わいの幅広さが世界中で愛され続ける理由の一つです。
ブラジルコーヒー加工方法の特徴
加工方法によってコーヒー独特の特性が出ます。
ブラジルで行われているのは主に以下の加工方法です。
- ナチュラルプロセス
- コーヒーチェリーを丸ごと天日乾燥し、果実の糖分と香りを豆に濃縮させます。気温が高く、日差しが強いブラジルの気候と土地の広さに適した方法です。
- パルプドナチュラルプロセス
- 近年ブラジルで多く用いられるようになっている方法です。機械を使って部分的に果肉を除去します。ぬめりや糖分が付いたままの状態で天日乾燥することで、甘い香りとコクがあるコーヒーになります。
- ウォッシュドプロセス
- 機械と水洗いによって、ぬめりや糖分を完全に除去し、クリアな味わいと上品な酸味をコーヒーにもたらします。デメリットは、大量の汚染水を排水することで環境汚染が問題視されている点です。ブラジルではあまり一般的ではありません。
ブラジルでは、ナチュラルプロセスが多く採用されていますが品質が安定しにくいことが課題です。近年ではパルプドナチュラルプロセスによるものが増えています。
ブラジルコーヒーの選び方
コーヒー豆には数多くの種類があるため、選ぶ際には下記のポイントを参考にしてください。
- 飲み方で選ぶ
- 品質で選ぶ
- コーヒーの淹れ方で選ぶ
飲み方で選ぶ
コーヒー豆を飲み方で選ぶのも一つの方法です。エスプレッソには、しっかり焙煎した酸味が少ない豆を極細挽きにしたものが最適です。ミルクとも相性が良く、濃厚な味わいとしっかりしたコクが得られます。砂糖やミルクを入れず、豆本来の味を楽しみたいときは、中煎りで中細挽きの豆がおすすめです。
ゆっくりと丁寧にドリップすれば、香り高く飲みやすいコーヒーが完成します。水出しコーヒーなら、中細挽きで中深煎りの豆を選んで一晩かけてゆっくり抽出してください。クリーンでスッキリとしたアイスコーヒーを楽しめます。
品質で選ぶ
ブラジルコーヒーの品質基準は以下のとおりです。
- 欠点数:目視で欠陥や異物の混入数によって数値化
- スクリーンサイズ(豆の大きさ):専用のふるいにかけて大きいほど高品質
- カップテスト(味わい):試飲し、なめらかで雑味の少ないものが高品質
欠点豆が混ざっていると風味が悪くなったり、渋みが出る場合があります。大きな豆はコーヒーの実が成熟した証であるため高評価です。
コーヒーの淹れ方で選ぶ
コーヒーは、淹れ方次第で味わいや香りが大きく変化します。
主な淹れ方と特徴は以下のとおりです。
- ペーパードリップ
- ペーパーフィルターとドリッパーがあれば淹れられるので、手軽に豆の味わいを楽しめます。「1〜2人用」「3〜4人用」などがあるため、ペーパーフィルターとドリッパーのサイズを合わせて購入してください。
» 【初心者向け】コーヒードリップ講座 - エスプレッソマシン
- コーヒー粉に圧力をかけ、コーヒー粉に熱湯を通して抽出します。少ないお湯と深煎りで細かく挽いた豆を使用するので、濃厚な味わいが特徴です。おいしいエスプレッソには芳醇な香りと「クレマ」と呼ばれる細かな泡があります。
» エスプレッソとは - フレンチプレス
- 円柱型のポットにコーヒーの粉とお湯を入れ、蓋でプレスしてコーヒーを抽出します。紙のフィルターを使用しないためコーヒーの油分を味わえるのが特徴です。
» 自宅でおいしいフレンチプレスコーヒーを淹れる方法 - コールドブリュー
- 低温で8〜12時間かけてゆっくり抽出します。苦味や渋みのもとであるカフェインやタンニンが溶け出しにくいので、まろやかな味わいが特徴です。すっきりとして飲みやすいので、コーヒーが苦手な人にもおすすめの淹れ方です。
- サイフォン
- アルコールランプを使用して蒸気圧でお湯を押し上げて抽出します。見た目の美しさと、香りの良いコーヒーを楽しめる淹れ方です。じっくりと豆のおいしさを引き出すので、柔らかくすっきりとした味わいが特徴です。
» サイフォンコーヒーの魅力や淹れ方を徹底解説
コーヒーは淹れ方によってかかる時間が異なります。淹れている間の芳醇な香りもコーヒーの魅力の一つです。
ブラジルコーヒーを味わうためのおすすめアイテム
おいしいコーヒーを淹れるには以下の道具選びも重要です。おいしくコーヒーを飲むための道具は数多くあります。
- コーヒーグラインダー
- ドリッパーとフィルター
- サーバーとケトル
コーヒーグラインダー
挽いたコーヒー豆の賞味期限は約1週間です。グラインダーがあれば、挽き具合を都度調整でき、いつでも挽き立ての豆でコーヒーを淹れられます。
グラインダーを選ぶときは以下の点に注意してください。
- 均一な挽き具合:雑味の原因となる微粉が出にくいもの
- 手入れのしやすさ:日常的に使いやすいもの
- 価格:価格と品質のバランスがいいもの
グラインダーには手動と電動のものがあります。手動のものは見た目がおしゃれで人気ですが、大量の豆を挽きたいときには向いていません。電動のものは時間と手間をかけずに豆を挽けますが、音の大きさには注意しましょう。
» コーヒー豆の挽き目の種類と特徴、上手な挽き方を解説!
ドリッパーとフィルター
手軽にコーヒーを淹れられるドリッパーとフィルターには、さまざまな素材や形状があります。アイテムによって味わいが変わるので、特徴を把握して好みのものを選んでください。
ドリッパーの素材として、主なものは下記のとおりです。
項目 | セラミック | ガラス | プラスチック | 金属 |
---|---|---|---|---|
特徴 | デザイン性に優れている | デザイン性に優れている | 手頃な価格で手に入る | 耐久性に優れている |
耐久性 | ||||
温度管理 | あらかじめ温めておく | 必要なし | 必要なし | 冷めやすいので手早く淹れる |
重さ | 重い | 中間 | 軽い | 中間 |
持ち運び |
フィルターの素材としては、下記のものがあります。
項目 | ペーパー(白) | ペーパー(茶) | ネル | ステンレス |
---|---|---|---|---|
メリット | 漂白されているため匂いが少ない | 漂白剤を使用していない | 豆本来の特徴を抽出できる | オイルを残して抽出できる |
デメリット | 漂白剤の種類によっては匂いがある | 湯通ししないと紙臭さが出ることがある | 手入れに手間がかかる | 目詰まりしないようによく洗う |
特徴 | すっきりとした味わい | すっきりとした味わい | 雑味が少なくなめらか | 豆の個性を味わえる |
耐久性 | 使い捨て | 使い捨て | 目詰まりしたら交換 | 半永久的 |
ドリッパーやフィルターの形状によっても味わいが変わります。特徴は以下のとおりです。
項目 | 円錐型 | 台形型 | 平底 |
---|---|---|---|
味の特徴 | スッキリした味わいになりやすい | 柔らかくバランスの取れた味わい | 雑味のないすっきりした味わい |
扱いやすさ | 中〜上級者向き | 初心者〜 | 初心者向き |
手に入れやすさ |
適切なドリッパーとフィルターの組み合わせの選択で、ブラジルコーヒーの豊かな風味を最大限に引き出すことが可能です。
サーバーとケトル
コーヒーサーバーを選ぶ際のポイントは、形状と素材です。形状は大きく分けて2種類あります。一つはサーバー単体のもので、さまざまな大きさや素材で作られています。サーバーとドリッパーが一体化しているものもあり、デザイン性にこだわったものが多く人気です。
サーバーの素材として多く用いられるものは3種類あります。ガラス製のものは清潔感がありシンプルなので、手入れもしやすく人気です。直火にかけられるものを選ぶと、再加熱しやすいメリットがあります。樹脂製のものは割れにくく、軽いのがポイントです。
ステンレス製のものを選ぶと保温性に優れているので、長時間コーヒーを楽しむことができます。アウトドア用としても便利です。
ドリップコーヒーを作るときに欠かせないアイテムがケトルです。おいしいコーヒーを淹れるためには、コーヒー粉に対してゆっくりと細くお湯を注ぐ必要があります。ドリッパーに直接お湯がかかると雑味が出てしまうため、お湯の出る量が微調整できるケトルを選んでください。
ブラジルコーヒーの楽しみ方
コーヒーの味を決めるのは豆だけではなく、以下のポイントがあります。
- 水の質と温度を調整する
- 好みの焙煎具合を探す
- 自分だけの一杯を見つける
水の質と温度を調整する
日本の水道水の多くは、ミネラル分の少ない軟水です。ミネラルが少ないとコーヒーの香りが吸着されず、雑味の抽出もされにくくなります。軟水で淹れたコーヒーは、香り豊かで甘みを含むのが特徴です。硬水のように、ミネラルを豊富に含んだ水でコーヒーを抽出すると香りが変性してしまいます。
ミネラルにはコーヒー成分の苦味や渋みを引き出してしまう性質があるからです。コーヒーは、抽出するお湯の温度によっても味や風味が変わります。コーヒーに適したお湯の温度は90〜95度とされますが、時間をかければ水での抽出も可能です。お湯の温度が高ければ苦味が強くなり、低ければ酸味が強くなります。
同じ豆でも水や温度によって香りや味が異なるため、好みの温度を見つけることもコーヒーの楽しみ方の一つです。
好みの焙煎具合を探す
コーヒー豆は焙煎具合で全く別の香りや味、風味が楽しめます。コーヒーチェリーから取り出して乾燥させた生豆は、淡いグリーンや黄色です。手に取ると、乾燥させていますが水分を感じる重さがあります。焙煎の程度を示す段階はさまざまですが、一般的には8段階です。
最も浅いのはライトローストと呼ばれています。コーヒー豆は薄い茶色で酸味が強く、コクや香りもまだ薄いのが特徴です。中煎りはハイローストやシティローストで、酸味と苦味のバランスがほどよく、最も豆の個性を感じられます。深煎りのフレンチローストやイタリアンローストは、エスプレッソによく用いられる焙煎です。
深い焦茶色から黒に近い色になるまで焙煎されたコーヒー豆は、コーヒーオイルでつやつやしています。深煎り豆で淹れたコーヒーは苦味が強く、重厚な味わいを求める方におすすめです。同じブラジル産の豆でも、焙煎度合いによって異なる味わいを楽しめるコーヒーは奥深い魅力を持っています。
» コーヒー豆の焙煎の仕組みを知って自分の好みのコーヒーを作る!
自分だけの一杯を見つける
ブラジルコーヒーは豆や焙煎具合、水、温度、器具の選び方次第で自分好みにカスタマイズできます。自分だけのブレンドを作ることや、気分や季節に応じて異なるコーヒー豆を選ぶのも楽しみの一つです。コーヒーの風味を引き立てるフルーツや、スイーツとのペアリング探しもおすすめです。
一緒に食べるものでもコーヒーの感じ方が変わります。思わぬ発見があるのが、フードペアリングの面白さです。ブラジルには広大な国土があるので、気候や地域差を生かした個性豊かなコーヒー豆を生産できます。味や香り、風味も個性的です。
いつもの豆を味わうことはもちろん、普段とは異なる豆に挑戦してみるとコーヒーの多様性を楽しめます。
ブラジルコーヒーの未来
ブラジルでは気候変動対策として環境に優しい農法にシフトする動きが加速し、地球温暖化への真剣な取り組みが進んでいます。コーヒーカップの中のおいしさだけでなく、生産方法や生産者の存在も重視されるようになりました。
フェアトレードの普及により、生産者が適正な報酬を得られるよう取り組みが強化されています。生産者と消費者の両方に利益がもたらされることが重要です。今後のブラジルコーヒー産業は、新しい品種開発や多様化するニーズへの適応を通じて発展を遂げると見込まれています。
サステナブルなコーヒー栽培のために協力することは、ブラジルのみならず世界のコーヒー産業全体のためにも必要不可欠です。
フェアトレードとブラジルコーヒー
フェアトレードとは、発展途上国で生産されたものを適正価格で取引することを言います。フェアトレードのブラジルコーヒーは、国際社会において人と環境に優しい製品である証明です。フェアトレードを行うことは、持続可能なコーヒー作りに欠かせません。
消費者がフェアトレードのマークが付いた商品を選択すると、遠く離れたブラジルのコーヒー農家を直接支援できます。
まとめ
ブラジルは世界最大のコーヒー生産国です。広大な国土を生かし、多種多様なコーヒー作りが行われています。コーヒー豆を選ぶコツは、飲み方や淹れ方、使う道具に合ったものを選ぶことです。道具にはデザイン性に優れたものも多く、インテリアとしても楽しめます。
地球環境に配慮したサステナブルな栽培や、フェアトレードの重要性が世界中で認識されてきています。生産者にも消費者にもメリットある取引が大切です。ブラジルコーヒーを通じて、コーヒーの奥深い世界を探求する喜びが味わえます。
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